q-NAVIGATOR® [建物安全度判定支援システム]
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大地震発生直後には、避難すべきかどうか、建物を使い続けられるかどうかの的確な判断が迅速に求められます。
建物安全度判定支援システムq-NAVIGATOR®は地震後の揺れが収まってから、1~3分というスピードで建物管理者がそのような判断を客観的にできる情報を提供します。建物利用者へも迅速に建物の状況を知らせるとともに、被災状況の詳細なデータを記録できるため、災害後の早期復旧にも活用できます。
導入建物はすでに500棟弱(2021年4月現在)にのぼり、主な建物の使用用途は事務所(約8割)、その他に工場施設、商業施設、倉庫、共同住宅、ホテル、大学、劇場、病院などと幅広く、低層建物から中層はもとより、50階以上の超高層建物にも設置されています。
q-NAVIGATOR®システムとは
建物に複数のセンサーを設置して地震時の挙動を計測し、建物の安全性を速やかに判定することで、
迅速な判断と適切な避難誘導をサポートするシステムです。
当社の専門の構造技術者が、対象建物の耐震診断書や構造設計図書の精査を行い、豊富な知見と経験より建物ごとの最適な判定限界値を定めます。対象は建物の構造躯体だけでなく、天井などの二次部材や家具、什器まで、揺れの強さに応じた被害を推定し、点検すべき箇所の判断を支援します。
5つの特長
信頼性 | 導入建物数No.1の実績と、実験と観測による検証 日本全国の都市部におよそ400台設置。5階から12階の中層建物が多いが、50階以上の超高層建物にも適用。 |
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迅速性 | 地震の揺れが終了後3分以内で安全度判定完了 センサーは標準4台(最大12台)で建物特性を考慮した適正な位置に必要最低限の台数を設置し、迅速にデータ処理していち早く安全度を判定。 |
経済性 | 導入に必要なハードウェアを低価格で提供可能 性能と品質が特に重要なセンサーとPCは建物分析に最適な仕様にして開発。それら以外は実績のある市販機器を利用し、高いコストパフォーマンスを実現。 |
高精度 | 建物ごとの構造特性を詳細に考慮して判定評価 専門の構造技術者が耐震診断、構造設計図書を確認し、各建物毎に判定に用いる限界値を設定。 |
拡張性 | クラウドサービスにより、インターネットに接続できれば複数建物をどこででも一括確認 その他、「繰り返し地震評価」機能やデジタルサイネージ、パトライトへの判定の出力などのオプション機能も充実。 |
建物の一生をトータルサポート
小堀鐸二研究所の技術力により、 q-NAVIGATOR®導入から管理運用、もしもの際の応急対策とその後の長期的な対応まで、震災リスクマネジメントをトータルサポートいたします。
小堀鐸二研究所の技術力
設置工事について
設置工事による建物への影響は軽微です。また、建物の規模、用途や竣工時期、元設計施工業者を問わずに設置することが可能です。
システム本体PC、モニター、ハブ、通信機器等は、ラックにコンパクトに収納し、管理室や防災センターなどに集約します。
加速度センサーは必要階のEPS(弱電用のパイプスペース)などの共用部に設置し、床スラブに接着剤で固定しますので、アンカー工事の必要はありません。LAN配線はシステム本体と地震計の間に配線します。ほとんどの場合は執務スペース等に出入りせず、共用スペースでの作業で設置することができます。
便利なオプション機能
クラウドサービス
インターネットが接続できる環境であれば、どこでも地震直後の評価結果を閲覧することができます。記録日時をクリックすれば、より詳細な観測結果が確認できます。過去のデータも比較確認することが可能です。
複数棟の震度および被災度を一覧で把握できるため、復旧に向けた建物の優先順位付けに役立ち、迅速な初期対応に活用が可能です。すでに複数の建物にq-NAVIGATOR®を設置されている顧客様に多くご利用いただいております。2018年大阪府の地震など、過去の被害地震で有効性に高い評価をいただいています。
繰り返し地震動の評価
2016年の熊本地震では震度7の地震が2回あり、被害が拡大しました。被害が生じるような大きな地震に繰り返し見舞われた場合の安全度を予測します。
鉄骨造など、鉄骨系の構造は大きな揺れが繰り返すと梁端部が金属疲労により破断する危険があります。そのためこの疲労損傷を指標化して評価します。
RC造、SRC造などのコンクリート系の構造は、大きな揺れによって損傷の残留が生じた場合、性能が低下します。この残留損傷を推定して判定結果に加味します。
結果表示のバリエーション
必要に応じて、結果表示をオプションとして用意しています。
館内利用者向け情報表示モニター(デジタルサイネージ)への割り込み表示、パトライト(三色信号表示灯)のによる3段階の安全度判定結果表示(光とブザーで報知)、またモニター付き監視PCの増設に対応しています。
その他、事前登録者への評価結果のメール自動配信機能(多数に同時に早期に報知可能)にも対応しています。
システム稼働実験
当社では、実大模型建物を用いた振動台実験への設置により、複数回の稼働実験を行い、稼働状況を確認しています。判定内容が適正であるかとともに、判定速度や通信状況の確認を行い、品質の向上に努めています。
2018年に起きた北海道胆振東部地震では、地震後地域全体がブラックアウトしましたが、約1時間はUPSで稼働しました。本震のデータ分析には問題はなく、システムが停止した後もクラウドサービスによって本震の結果は遠隔から確認することができ、BCP的には問題ありませんでした。また、停電終了後は自動的にシステムは立ち上がり、正常に稼働したことが確認できました。